2016年5月13日金曜日

有害でもある太陽光パネルの処理・リサイクルシステム問題

太陽光パネルの大量ゴミ問題、2040年度に80万トン!?|inside Enterprise|ダイヤモンド・オンライン

2016年5月11日

地震や強風、洪水などの自然災害などで見るも無残に破壊された太陽光パネル。熊本地震では、パネルを取り付けた住宅が倒壊したさまが連日のように報道されている。

これら使用不能となった太陽光パネルは産業廃棄物として処理されるが、実は2040年度には廃棄される太陽光パネルが膨大な量になるという試算がある。昨年6月に環境省が行ったもので、14年度に年間約2400トンだった廃棄量が、40年度には年間約80万トンに膨れ上がるという(下図参照)。実に10トン積みの大型ダンプカー約8万台分に相当する。

そもそも太陽光発電が急速に普及したのは、11年の福島第1原子力発電所の事故によりエネルギー政策の見直しが行われ、12年に太陽光や風力など再生可能エネルギー普及のための「固定価格買取制度(FIT)」が導入されたことによる。

導入当初は普及促進のため買い取り価格が高めに設定され、それまで住宅用の小型の太陽光パネルがメーンだったところに、メガソーラーなど産業用の大型の太陽光パネルが一気に製造された。中には投資を目的とした事業者の参入も相次ぎ、まさに“太陽光バブル”といえるありさまだった。

ところがだ。買取制度には期限が設けられている。住宅用の買取制度は10年間で終了し、産業用は20年間で終わってしまうのだ。

そこに太陽光パネルの寿命が重なるとどうなるか。メーカーによって違いはあるものの、寿命はおおむね20~30年。つまり、太陽光パネルの寿命が終わると同時に投資対象としての魅力もなくなり、太陽光発電から撤退する事業者や投資家が一気に増える可能性が高い。その後は、大量のごみの山が築かれるというわけだ。

ごみ対策は後回し

住宅用の買取制度は10年で終わるとはいえ、小型だから廃棄物の量はそれほどでもない。問題なのは、産業用の買取制度が終わる20年目、すなわち32年度以降だ。そこで慌てた環境省は今年4月、「太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン」を発表したが、今は各事業者に処理を委ねているのが現状だ。

海外大手パネルメーカーも「この数年内には対応したい」と言及するにとどまり、いまだ対策が立てられていないことを暗に示す。

加えて、太陽光パネルには銀や銅など資源価値の高い金属も含まれるが、パネル表面のガラスは資源としてほぼ無価値。仮にリサイクルしてもガラスを分離する技術が発達しておらず、コストが掛かる。現状では、埋め立て処分の方が安上がりなのが実態だ。

エコなはずの太陽光発電だが、このままでは不法投棄や埋め立て地の不足など、深刻な環境問題を引き起こしかねない。早急な対策が求められている。

(「週刊ダイヤモンド」委嘱記者 大根田康介)

資料|資料・出荷統計|JPEA 太陽光発電協会

適正処理・リサイクル関連情報

前はこんなPDF化してなかったはずだけど…なんで?

しかし昨年2015年の鬼怒川ソーラーヤクザの件で注目されて以降、太陽光パネル廃棄問題は色々取り組み(調査?)があった模様。PDFだらけだけどそれぞれ読むだけでもそれなりに面白くて時間があっという間に…。

2016年4月:使用済み太陽電池モジュールの適正処理・リサイクル Q&A

Q1:使用済み太陽電池モジュールの処分(適正処理・リサイクル)についての調査結果等のまとまった文献にはどんなものがありますか?
A1:国が最近公表した文献として、環境省/経済産業省の両省がまとめた「使用済再生可能エネルギー設備のリユース・リサイクル・適正処分の関する調査結果」(平成26 年3 月)があります。(以下「H26/3 調査結果」という)
この調査は、両省が有識者や関係事業者等に対してヒアリング等を行い、使用済再生可能エネルギー設備のリユース・リサイクル・適正処分の実態を調査整理したものです。
技術開発を含んだ文献としては、少し古くなりますが、太陽光発電技術研究組合等が作成した「平成16年度~17年度新エネルギー・産業技術総合開発機構委託業務成果報告書太陽光発電技術研究開発太陽光発電システム共通基盤技術研究開発『太陽光発電システムのリサイクル・リユース処理技術等の研究開発』」(平成18年3月)があります。
【平成27年10月追記】
<新しい報告書>
環境省は、平成26年度に、経済産業省と連携して、「使用済再生可能エネルギー設備のリユース・リサイクル・適正処分に関する検討会」(以下「H26検討会」という))及びその傘下のワーキンググループ(以下「WG」という)を開催しました。この検討会は、有識者/学識経験者が委員となっており、JPEAは関係事業者として検討会のオブザーバ、WGの委員として、情報を提供し、意見を述べました。本検討会の検討結果は、「太陽光発電設備等のリユース・リサイクル・適正処分に関する報告書」)として、平成27年6月に環境省ホームページ上に掲載されました。(以下「H27/6検討会報告書」という)
また、その詳細版が、「平成26年度環境省委託業務平成26年度使用済再生可能エネルギー設備のリサイクル等促進実証調査委託業務報告書」(平成27年3月三菱総合研究所)として平成27年10月に環境省ホームページ上に掲載されました。(以下「H27/3三菱総研報告書」という)
これらの「H27/6検討会報告書」ないし「H27/3三菱総研報告書」の記述の中には、とくに意見の記述においては、JPEAの見解と異なる部分があることにご留意ください。
【平成28年4月追記】
<環境省ガイドライン>
環境省は、平成28年4月1日に、「太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン(第1版)」を、同省のホームページ上で公表しました。(以下「H28/3環境省ガイドライン」という)
本ガイドラインでは、その目的につき以下の通り記載されています。(1頁)
「廃棄物処理法では、太陽電池モジュールの廃棄に特有の規定はなく、他の廃棄物と同様に、同法を順守して処理することが可能です。
しかしながら、将来的に大量に太陽電池モジュールが廃棄された場合に混乱が生じないよう備えておくことが重要です。
このため、環境省では、太陽光発電設備の撤去・運搬・処分の関係者で構成される分科会での助言を得て、既存の法制度や留意事項といった基本的な事項を整理し、本ガイドラインを作成しました。」
本ガイドラインは、太陽光発電設備の所有者による撤去の依頼から適正処理・リサイクルに至るまでの、即ち撤去、運搬、処理の各ステージにおいて遵守すべき法律や考慮すべき安全への対応に関して整理することを目指しており、参考になる部分も多いと考えられます。
JPEAは、本ガイドライン作成のための上記分科会に委員として出席し、意見を述べる等して協力しました。
Q3:太陽電池モジュールにはどんな成分が含まれますか?
A3:太陽電池モジュールに含まれるものには、主成分としてガラス、アルミニウム、プラスチックがあります。主成分以外の成分については、サンプル試験の結果が「H26/3調査結果」36頁に記載されています。(含有成分として、鉛、銅、すず、銀、アンチモン等。一部のモジュールでは、セレンまたはカドミウム。希少金属としてはインジウム、テルル。)
【平成27年10月追記】
<サンプル試験についての補足>
H26検討会WGで行ったサンプル試験として、埋め立てた場合を想定した溶出試験がありますが、その方法は、液体窒素で低温脆化させた上で対象物を粉砕し0.5-5mmの粉体状の試料を用いて溶出部分を定量化するというものです。
一方、太陽電池モジュールは、強化ガラスを使用し、さらに封止材等の樹脂を用いることで容易に割れず飛散しないような構造になっているので、これを埋立処理する場合は、ガラス面に亀裂が入る可能性はあるものの、0.5-5mmの範囲で多くの粉体が飛散することは考えにくく、同WGの試験方法では必ずしも実態に近いとは言い切れない部分があります。
そこでJPEAは、埋め立てられた場合の形状に留意した有姿による溶出試験を独自に実施し、その結果を同WGに提出しました。JPEAの溶出試験結果は「H27/3三菱総研報告書」の85-91頁に記載されています。
<セレンの溶出試験結果について>
「H27/6検討会報告書」28-30頁では、太陽電池モジュールの溶出試験結果が示されており、「結晶系のモジュールの一部で鉛の溶出量が、化合物系のモジュールの一部でセレンの溶出量が相対的に高い値を示した」と記載されています。このうちセレンについてのH26年度試験結果は0.01mg/L未満~0.04mg/Lとなっています。ちなみに、この値は、「燃え殻・ばいじん・鉱さい・汚泥等についての廃掃法による特別管理産業廃棄物の判定基準」である0.3mg/Lを下回っています。
一方、H25年度試験結果では0.01mg/L未満~1.1mg/Lとなっていますが、100倍以上のばらつきは通常では考えにくいところであります。なお同じH25年度において、1.1 mg/Lを検出した分析機関が、その後実施した追加試験では0.01mg/L~0.13mg/Lとなっており、また他の分析機関の実施した試験では0.01mg/L未満~0.076mg/Lとなっています。これらの結果の違いについては、分析前の前処理方法等に、測定値にバラつきが生じる要因があるものと推定しています。(H26/3調査結果39頁)
太陽光発電モジュールの埋立てを前提とした溶出試験による成分分析については、上記のような埋立て時の形状の考え方や、測定の不安定性等、いくつかの課題が残っている状況です。

太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン(第1版)

4.3 リサイクル方法の参考事例
参考事例⑤ 欧州における太陽電池モジュールの回収・リサイクルについて

欧州では、使用済太陽電池モジュールのリサイクルを義務付ける改正WEEE指令が2012年に発効されました。現在、同指令に基づく法制度化・具体的な回収・リサイクルスキームの構築が進められているところです。 同指令の改正に先立ち、欧州市場における太陽電池モジュールメーカーを中心に設立されたPV CYCLEでは、太陽電池モジュールの自主的な回収・リサイクルスキームの構築を目的に、2007年に設立され、2010年より活動を開始しています。

前はドイツでの回収量が多かったけれど、中国からの安価な太陽光パネルによってなのか徐々に処理量が減少…そこにドイツ車排出ガス問題が被った? 何にせよ良いところ(現状に合わせてシステムもガンガン変更してるとことか)は吸収すべき。

関連して…震災等で壊れた太陽光パネルへの注意喚起。(今回は熊本地震に合わせて出されてるけど、鬼怒川氾濫のときも見かけた。)

震災によって被害を受けた場合の太陽光発電システム取り扱い上の留意点

…元のPDFがおかしな作られ方をしてる件。テキスト多重で太字化とか…。うまいまとめを見つけたので拝借。

熊本地震、壊れた太陽光発電を素手で触らないで JPEAが注意、対処法を紹介 | ニュース | 環境ビジネスオンライン

2016年4月18日掲載

一般社団法人太陽光発電協会(JPEA)は、熊本地方を中心とする大地震の発生を受けて、震災で破壊された太陽電池パネルの取り扱い上の注意点をまとめ公開した。

熊本県は、資源エネルギー庁から本文書の周知依頼を受けて、太陽光発電設備が震災の被害を受けた場合の対処について、以下3点のポイントをあげて注意を喚起している。

  1. 壊れていても、太陽の光が当たっているときは発電している可能性がある。
  2. 感電の恐れがあるので、触れないこと。
  3. まずは、販売施工事業者と相談すること。
被災した太陽光発電設備の取り扱い手順

JPEAは、太陽電池パネルが震災で破壊された家屋に残っている場合、あるいは、破壊されて屋根から外れて、がれきとなって堆積している場合の対処の手順について以下のように紹介している。

  1. 破壊時の注意事項
    1. 破壊されていても、感電の恐れがあるので触れないこと。
    2. 被害への対処の実施にあたっては、販売施工事業者に連絡し、対策をとること。
  2. 被害への対処における注意事項
    1. 素手でさわらない。
    2. 救助および復旧作業等で壊れた太陽電池パネルに触れる場合は、乾いた軍手やゴム手袋など絶縁性のある手袋をする。
    3. 複数の太陽電池パネルがケーブルでつながっている場合は、ケーブルのコネクターを抜くか、切断する。可能であれば、太陽電池パネルに光が当たらないようにブルーシートや段ボール等などで覆いをするか、裏返しにする。
    4. また、可能であれば、ケーブルの切断面の中の銅線がむき出しにならないようにビニールテープなどを巻く。
    5. 太陽電池パネルを廃棄場に運ぶ際には、念のため、ガラスを金づちなどで細かく破砕する。なお、太陽電池パネルの構成部材は、以下のとおり。
    6. 半強化ガラス(厚み約 3mm)、セル(シリコンの板、10~15cm 角、厚み 0.2~0.4mm、銀電極、半田、銅箔など)、透明樹脂、白樹脂シート、金属枠(主にアルミ)、配線材、樹脂箱など。
    7. 夜間や日没後の日射等のない時も、太陽電池パネルはほとんど発電していないが、作業内容としては、日射のある時の作業と同様にする。
横ずれ型の大型地震に対しての耐震性も必要

特定非営利活動法人太陽光発電所ネットワーク(東京都文京区)も15日、「熊本地震」に伴い、太陽光発電設備へ注意をするよう呼びかけている。

緊急を要するものとして、被災した太陽光発電による漏電や火災への対応をあげる。前述のとおり、太陽光パネルは太陽の光が少しでも当たれば発電し、被災で断線したケーブルの先端には数百ボルトの電気が流れており、直接触ると感電する。

太陽光パネルが雨にさらされると感電の範囲はさらに拡大する可能性があり、雨の後日射を浴びると、感電だけでなく火災の危険性も出てくると指摘する。野立ても住宅用も、その危険性は変わりないが、住宅用の太陽光発電の場合、被災場所が人の生活圏である分、さらなる注意を求めている。

太陽光発電は2012年に導入された固定価格買取制度(FIT制度)により急激に普及し、特に九州は日射条件がいいこともあり、その普及状況は全国平均の20%近くを上回っている。そしてメガソーラーや10kW以上の中規模の太陽光発電は、山林地帯にまで設置が進んでおり、その大半が設置されてまだ1、2年という状況である。東日本大震災以降、一気に普及が進んだ太陽光発電が、これほどの大きな地震を経験するのは初めてである。

同法人は、大きな地震に耐えるものとして、太陽光発電の設計・施工が行われているはずだが、横ずれ型の震度7の地震に対しての耐震性については、今後のためにも検証する必要があると指摘する。

そこで、太陽光発電の安全確保についての検証のため、太陽光発電の被災状況のわかる写真を、その時の状況説明と併せて、太陽光発電所ネットワークまで送るよう協力を求めている。なお、撮影の際には、建物の倒壊や地盤の崩壊、感電に十分注意しつつ、危険な場所には近づかないよう注意が必要だ。

【参考】

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